そのまま現場にも量産にも使えるIoTデバイス=Armadillo-IoT試用レポート1
以前から気になってたアットマークテクノ「Armadillo」シリーズ。
なかなか仕事で使う機会に恵まれず、指をくわえて見てるだけだったアコガレのLinuxボードです。
今回、ついにチャンスがやってきました。
しかも、SIMカード実装して単独通信できる自立IoTマシンですよ!?
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世にボードは数多あれど…
ET2017でも目の当たりにしましたが、実に様々なメーカからIoTや組み込み開発に向けた小型ボードコンピュータ型の開発キットが発表/発売されています。
しかし、そのボードをそのまま製品化、あるいは製品の一部として投入できる、というボードは意外と少ないものです。
多くのメーカが、自社のCPUやデバイスを販売するために、そのデバイスを用いた製品を開発する手助けとして開発キットを用意しているからです。
こういったボードは、様々な理由から製品に転用することができませんし、メーカに聞いても「お勧めしない」「対応していない」と断ります。
つまり、「試作開発の一部(ソフト開発の前半)は、このボードを使って素早い立ち上げを活用してね」「ハードウェアは当社のデバイスを載せた基板を開発してね」という意味です。
実際のところ、組み込み製品を開発しているメーカは、自社で基板を開発し、その一部に前述のCPUやデバイス、回路を載せるので、何も困りはしないし、これが当然です。
組み込みメーカの皆さんは、何を当たり前なことをわざわざ言っているのだろう、と思われることでしょう。
しかし、こういったボードをそのまま利用したい、という需要が年々高まっています。
技術の進歩と同時に、開発~リリースまでの時間も短くなっています。
技術の進歩と同時に、ハードウェアの小型化、ワンパッケージ化が進んでいます。
つまり、「あのデバイスを利用して」+「ちょっとこうすれば」=「こんなことができる」というケースやアイデアがどんどん加速、拡大しているのです。
しかし、残念ながらまだ、パズルの様に簡単に組み上げられるほどの技術水準には至っていません。
そして、近年のIoTの波に乗り、近しいことができつつあります。
そして、当然、需要もそこに乗ってきます。
選択の決め手は量産投入可能、ということ
さて、今回そんな需要の一つを受け、どう実現しようかと考えていました。
- 動画または画像+GPIO+アナログデータをサーバに転送する独立デバイス。
- メンテナンス人員はないので、シンプルであればあるほど良い。
- まずは実地テストを行いたい。
- 成功すれば量産する。
量産も考えなければならないので、まともに基板開発したいところですが、試作期間が極端に短いので、既存のボードの方が無難、という状況です。
最初に考えたのはラズベリーパイですが、スペック的に厳しいこと、周辺パーツがかさばることがネックでした。
色々探しましたが、やはり量産がネックです。
そしてたどり着いたのが、アットマークテクノのArmadillo-IoTです。
何と言っても、最初から量産が視野に入ったプラットフォームであることが決め手でした。
ゴリゴリの硬派ボード
製品名にIoTが付いてるので、第一印象は「ああ、流行に乗った」と思いました。
しかし、いろいろ見てみると、結構…
色々なセンサーや通信規格のインターフェースボードも追加できる…
既存の規格やソフト資産を利用することも…
どうやら、流行に乗ったとかではないらしい。
カタログにはBOT(半オーダーメイド)や量産の型番まで最初から乗ってるし。
「コスパ重視か機能重視かどっちだろ」と思ってよく見ると、どうやら既にパフォーマンスアップタイプもラインナップ。
Armadilloシリーズは小型ディスプレイを搭載したものも多かったので、GUI全盛のこの時代、当然そっちだろうと思いきや…
HDMIとか…ついてないね?
もしやと思いながらふたを開けてみれば、
開発インターフェースはシリアル。
つまり、GUI(グラフィカル ユーザー インターフェース)ではなく
CUI(キャラクター(文字)ユーザー インターフェース)いや、
CLI(コマンド ライン インターフェース)だった。
ゴリゴリの硬派じゃん。
実用指向
誤解の無い様に説明しておきましょう。
GUIが無いというのは、今や手抜きでも後退でもありません。
無駄なものを排除し、目的に100%の実力を投入するために用意されたデバイスだ、ということを示しています。
実際、開発キットから開発をスタートし、最初はGUIを便利に利用したとしても、製品化にGUIが必要ない、あるいは別途UI(ユーザーインタフェース)を用意する製品である場合、製品化までの間に、無駄なGUIは削除します。
たとえ、GUIを削除する手間が面倒であったとしても、です。
そして、それはGUIに限ったことではなく、他にもデモや各種機能のテストのために用意されたプログラムやインターフェースも同様です。
その数が多いと、結構な手間になります。
消した結果、メインプログラムの動作が早く、安定するからです。
しかし、消した途端にメインプログラムの動作が変わってしまった、なんてことが起きかねないので、できればやりたくないのです。
余分な時間もかかるし、リスクもある。
そして、そんな作業が必要だ、等と最初から予定に組み込んでいる櫃は少ないでしょう。
従って…試作から量産化までの間に、何とか時間を作って、リスクを冒して、身の縮む思いをしながら無駄をそぎ落とす作業をしなければならないのです。
やってられません。
そんなことするくらいなら、最初からいらんわ。
…そうです。
CLIのみ、というのはそういうことです。
「最初から無駄なものは入っていません」「どうぞ100%の実力をお使いください」
そういうことですよね? アットマークテクノさん?
(すみません。勝手なこと書きました)
デモ機
さて、前置きが長くなりすぎました。
Armadilloシリーズを扱うのが初めてだったので、実機触っておきたいなと思っていたところ、
タイミング良く、ミニセミナー+相談会が実施されるということでお邪魔してきました。
開発を手伝ってくれるメーカさんやArmadillo-IoTその他を活用したソリューションを提示してくれるメーカさんの話も聞けました。
そして、相談会で細かいところを教えてもらった挙句、色々と駄々をこねていたら、何と無理を押してデモ機を用立ててくださるとのこと。
来てよかった。
そして、翌々日、早速届いたデモ機(開発セット)。
早速、ちゃんとマニュアル読みながら(借りものだからね)接続して…
そう。CLIで。ぞくぞくするね。
実機からクラウドにデータをアップするサンプルプログラムも動作しました。
まずはLAN経由光回線で。
それが成功したらSIMを挿して、3G回線接続で。
うん。問題なし。
今度はカメラをUSBで接続して、キャプチャした映像をクラウドにアップ。
詳細はまた今度にして、結果だけ書いておくと、成功。
光回線と比べて3Gはそれなりのスピード(10分の1くらい?)。
もうちょっと確認しておきたいことができたので、
でもデモ機借りられる期日まで時間ないので続きはまた!
P.S. コクヨのイング届きました!良好!その続きもまた!