ターゲットは小型ドローン。拡張性と重量の限界。

ドローンの開発や自作を行うにあたって、安全性と法規制への配慮は欠かせません。
プロペラを高速回転させますし、何より飛行物ですから、落下や衝突はつきものです。
法規制に関しては、「知らなかった」では許してもらえません。これはドローンに限ったことではありませんけどね。

まず安全性です。
ドローンの落下や衝突については、ある程度想像できると思います。
重ければ重いほど、鋭利であればあるほど、危険なのは言うまでもありませんね。

一方で、ちょっとわかりにくいのが、プロペラの危険性です。
ドローンのプロペラって、具体的にどのくらい危険なのでしょうか?
人に当たったらケガする?
髪の毛やカーテンなどに絡まる?
壁や家具は傷つく?

実は、ドローンの規模によってかなり差があります。
災害現場や高度な撮影に用いられる大型ドローンは、その重量もパワーも相当なものですので、そのプロペラに触れてしまったら大惨事は免れません。
片手で持ち上げられるくらいの中型ドローンは、重量もパワーも中規模なので、ケガする、傷つくといったレベルです。
手のひらに載せられる程度~手のひらサイズの小型ドローンは、重量もパラーも小規模ですが、決してケガしない、傷つかない、というわけではありません。
例えば、小型ドローンの回転しているプロペラに指を入れても、多少の痣(あざ)や擦り傷くらいです。
聞いた話ですが、中型ドローンのプロペラの場合、相当痛い目にあうそうです。
大型ドローンの場合はどうなのかも聞いてみましたが、はぐらかされてしまいました。
…そういうことなのでしょう。
少なくとも、素手で扱うものではない、と言うことです。

まあ、小型ドローンにしておけば、大惨事にはならないだろう、ということですが、それでも、目の保護だけはおろそかにできません。
ゴーグル(保護メガネ)か、ネット、どちらかは必須です。

一方、壁や床、家具にプロペラが接触した場合、傷がつきます。
材質によって、色が付く程度だったり、裂けたり、いろいろですが、大事なものが多い家屋では、中型以上の物はやめておいた方が無難です。小型でも多少の傷は覚悟しなければならないのですから、中型以上のものになると傷の深さも無視できないものになります。

ちなみに、プロペラガードを付けると、かなり回避できますが、困ったことに絶対ではありません。
一見完璧な様に見えるプロペラガードを取り付けていても、
衝突や落下力は意外に大きいので、プロペラガードがゆがみ/たわみ、プロペラが他のものに接触してしまいます。
多くの場合はプロペラガードがちゃんと仕事をしてくれますが…
例えば、20回に1回くらいは接触してしまう、というケースだったとしましょう。
1時間ほど飛行/衝突を繰り返したころには…「あー!!傷ついたー!!」となるでしょうね。
しかし、プロペラガード無しならボロボロになるのですから、やっぱりプロペラガード必須です。
何も傷つくのは周りばかりではありません。
周りの傷が気になるころには、ドローンのプロペラはもっとボロボロになっているのが常です。
そう、プロペラの破損を防ぐ役目も大きいのです。

広い場所やレースを行うコースなどでも無い限り、プロペラガードは付けましょう。

  • ゴーグル(保護メガネ)
  • 手袋
  • 帽子
  • ネット
  • プロペラガード

ドローンを開発したり、プログラムを変更したりする以上、衝突や墜落、接触は避けられませんので、小型ドローンの様な規模でスタートし、安定してきたところでステップアップしていくのが理想ですね。

小型、中型、大型の違い

小型ドローンと言っても、正確な定義はありません。
駆動規模、主にプロペラを回すモーターの規模とその機構によって、パワーとサイズが決まりますので、
それをもって、ここでは小型/中型を分けて呼んでいます。

ドローンのモーターは、主にコアレスモーターとブラシレスモーターが用いられます。
そして、小型ドローンはコアレスモーターに直接プロペラを取り付けた、最も単純な機構です。
中型ドローンは、コアレスモーターにギヤ機構を追加してパワーを上げたものや、超小型ブラシレスモーターを使用した物です。
大型ドローンはほとんどブラシレスモーターを採用しています。
コアレスモーターよりもブラシレスモーターの方が複雑で大型になります。
コアレスモーターは1個当たり1系統の駆動回路で構成されていますが、ブラシレスモーターは1個当たり3系統の駆動回路で構成され、内部も外部回路も複雑です。
コアレスモーターの方が大きなパワーが得られ、繊細なパワー制御も可能ですが、コストも重量も大きくなります。

重量が大きくなると必要となる浮力も大きくなるので、必然的にプロペラも筐体も大きくなり、そのパワーを運用するためのバッテリーなども大きくなり、結果、重くなります。イタチごっこですね。
しかし、今よりも小型で軽量なブラシレスモーターが登場したら、小型ドローンでも用いられるようになるでしょう。

目的に合ったドローンを考えてみる

安全性やコストの面から、コアレスモーターで構成する小型ドローンをターゲットに考えてみます。
そして、開発用途を考えた場合、様々な実験やテストを実現するため、拡張性が欠かせません。
これが、市販品との大きな違いであり、最も大きなテーマです。

飛行実験や回路実験を重ねていくと、この構成における重量の限界が見えてきます。
概ね100gといったところでしょうか。
その内、
約25gがバッテリーの重量。
約22gがモーター。
約16gがフレームの重量。
約12gがプロペラとガードの重量。
残り25gが基板などに使える部分です。

コアレスモーターの種類は様々ですが、上記は8520といわれる本体サイズ8.5mm径×20mmの物です。
拡張性を削った軽いものを作る場合は、7mm径や6mm径のモーターを使っても良いでしょう。
7mm径×20mmのモーターを使った実験では、約70gを浮上させるのが限界で、拡張性などを考える余裕は確保できませんでした。

これらの結果から、25g程度で試せる用途であれば、小型ドローンで可能。
それ以上の規模を目的とするのであれば、中型~大型のドローンが必要であることが分かります。

中型ドローン~200gから法規制に注意

200g未満のドローンは、室外でも規制はありません(ただし、空港付近や一定の高度以上は、すべて規制されています。) が、200g以上のドローンを室外で飛行させる場合は、航空法上の承認を得る必要があります。参照:国土交通省

これは、特定の機体をもって申請するので、改造などを行った場合は再度承認を得る必要があります。
その為、開発中の機体の場合、少々煩雑です。
従って、開発中の機体の飛行テストは、室内がメインになるでしょう。

ネットで(前後左右と上空全て)囲われたスペースであれば、室内同様、問題ありません。

技適マーク(電波法)に注意

ドローンはプロポなどの無線送信装置(koebi02の場合は無線ドングル)を使用し、無線で制御します。

これらの無線装置には、技適マーク(電波法令で定められている技術基準適合証明等のマーク)が付いている必要があります。

通販サイトなどで国外のプロポなどを購入した場合、技適マークが付いてないものも購入できてしまいますので、注意しましょう。使ってはいけません。

無線アンテナを変更/改造すると、認可の条件から外れてしまう可能性がありますので、再取得が必要になります。改造しないこと。