ダウンウォッシュと本体の干渉

市販のドローンを見てみると、プロペラ付近には余計なものが無く、きれいな形になっています。
これはもちろん、プロペラから生み出される風の流れを邪魔しないようにするためです。

最も大事な場所はプロペラの下の部分ですが、プロペラの上の部分も無視できません。
これら、風の流れる部分にドローンの本体やフレームなどの障害物があると、風の流れを阻害するだけでなく、その障害物が風に押され、せっかく生み出した浮力を相殺してしまうことになります。

実験中、ドローンを離陸させようとすると、前転を繰り返すかの様にひっくり返って浮上しなくなる、ということが起こりました。
原因は、わずかに出っ張った基板。
その日、ちょっとした回路変更を行い、再組立てをしたのですが、その時に基板の位置がずれてしまったことに気付かなかったのです。
いや、気付いていたはずですが、大差ないだろう、と気にしなかったのです。
しかし、結果はとんでもない。
小さな基板にプロペラからのダウンウォッシュが当たっただけで、飛び立つこともできなくなったのです。

考えてもみれば当然です。
風の流れだけで飛行する物が、その流れを阻害されれれば、飛行に支障をきたすのは当たり前です。
小さな基板が阻害する量は全体の1割以下。
しかし、一方で飛行に必要な浮力における1割と言うのは決して小さなものではありません。
モーターの出力(回転数)を1割も削れば浮上できません。
本体の重量が1割も増えれば浮上も困難です。
ましてや、全体にバランス良く1割減というわけではなく、1部分だけに集中して削れるわけですから。

さて、この例からも分かるように、いかに風の流れに対する障害を減らすか、がとても重要です。
かといって、本体とプロペラが干渉しない様にサイズを大きく、アームを長くして…というわけにもいきません。
大幅に重くなってしまいますので。
基板の様に面で風の当たるところはもちろんですが、細いものも軽視できません。
棒や紐に風が当たっった時も、思いがけず負荷がかかるものです。
結局、風の流れをスムーズにするために、細かいところにも気を配るしかありません。

一方で、ダウンウォッシュと関係のないところを最大限に活用するのがポイントです。
風の干渉の少ない場所は、プロペラから遠い部分、つまり本体の中心部やプロペラとプロペラの間。
そして、各プロペラの中央です。
つまりモーターの真下ですね。ダウンウォッシュが無いわけではありませんが、ほとんどない場所と言えます。
「足」を配置したり、プロペラガードを固定するために利用したりします。